ドッグフィットネスの有効性

犬は本来、頭を使い身体を動かすことが大好きです。しかし都会の暮らしでは散歩はアスファルトの平坦な道で、でこぼこ道を身体のバランスを取りながら歩いたり、障害物をよけたりする機会は限られます。また、生まれてから早い時期に親兄弟から離される犬も多く、小さな時から犬同士でじゃれ合ったり体をぶつけ合うことで自らの身体意識を感じる機会も限られます。
ドッグフィットネスにより、犬に頭を使って身体を動かす機会を与え、散歩だけでは培われない筋力、バランス機能、柔軟性、持久力を向上させるとともに、身体意識の向上や達成感により自信をつけることで、メンタル面でも好影響を与えることができます。

●身体の調整(コンディショニング)
●体全体の動きの改善
●不安定になりがちな背中と後肢のバランスを良くし、歩様を改善
●バランスを取れた身体の使い方を自ら学び、それにより落ち着きを覚える
●免疫力の向上
●筋力増強
●身体バランスの維持・改善

●身体意識の向上
●カロリーの消費・適性体重の維持
●自律神経の調和を促進
●精神面での活性化
●心の安定感、幸福感の向上
●自信を与える
●家族との絆が強くなる

小さな犬は簡単に抱き上げられてしまうために、犬自身がしっかりと大地を踏みしめるという感覚が軽減していることがあります。
そのような場合、筋肉が少なく、靭帯や腱で守られている足先の力が弱まり、グリップ力が軽減してしまい、その上にある膝関節、そして股関節にも影響が出てきてしまいます。また、感情面でもすぐ不安になったり怖がるなど行動にも影響が出がちです。
ドッグフィットネスにより、バランスボールを踏みしめたり、前後にバランスを取らせることで、足先や足裏の意識を高め、靭帯や腱を強化し、グリップ力を高めることができます。感情面においてもしっかりと踏みしめる力をつけることで、自信がつき、落ち着きを覚えることができます。

犬種やその個体により運動の質や量は違います。例えば、超大型犬のグレートピレニーズは山岳部や野道を歩き、羊の警護などをしてきた犬なので、強靱な体力を持ち十分な運動を必要としています。
ドッグフィットネスとして様々なバランスボールを並べてその上を登ったり降りたりする運動をお散歩に加えておこなわせると、普段は落ち着いたゆっくりとした動作のピレニーズが生き生きと目を輝かせて、身体のバランスを上手く取り、上手に登ったり降りたりします。
都会ではなかなか十分な運動を与えることができない大型犬や超大型犬の健康維持にドッグフィットネスは有効です。

パピーの時期には、筋力や柔軟性といったフィットネスというより、精神面でのキャパシティーを広げ、自信をつけさせ、情緒を安定させるためのメンタルフィットネスとしてのが有効性があります。ぐんぐんと成長する身体に意識が追いつけるよう、固有受容感覚を高めるドッグフィットネスが有効です。
例えば、低いバランスボールを転がしたり踏みしめたりすることで、身体のバランスを取りながら自身の身体の使いかたを覚えることができます。また、バランスボールに付いている突起が身体に触れることで、身体意識の向上にもつながります。パピー自身が自らの身体の輪郭を認識することで、情緒の安定を促すことができます。

シニアドッグへのフィットネスは、老齢による身体の機能の衰えを遅らせ、日常の体の動きを良好に保つ手助けとなります。筋力の維持、バランス力の調整、固有受容感覚の維持、それらの適度な運動は身体面のみならず精神面での良い刺激となり、認知症のリスクを軽減させることが人の医療で証明されています。
 
<日常動作、体全体の動きの維持改善>
老齢による筋量の減少や体の一定部位の痛みにより、身体をバランス良く動かすことがしにくくなり、日常動作での整合性のある動きが取りづらくなります。そういった動きを日常的に繰り返し行なうことで、筋量の減少や関節への負担、他の部位への負担が生じ、それらは不可逆的なものとなります。その犬に合ったフィットネスを適正に行なうことにより、筋力を維持し、バランス良く体を動かせるような練習をし、体全体の動きや日常動作をスムースにおこなえるよう手助けすることができます。
 
<心のケア>
年をとり身体能力が減少し以前に比べて活動が減ることで、退屈に感じたり、フラストレーションを感じることもあるでしょう。特に若いころアクティブにスポーツなどをしていた犬はなおさらです。ドッグフィットネスを通して精神面にも刺激を与え活性化させてあげることができます。老齢になっても新しいことが学べるのです。

引っ込み思案や不安症の犬も、ドッグフィットネスにより楽しみながら能動的に運動をおこなうことで、達成感を得ることができ、 自信とリラックスを身につけることができます。

ドッグフィットネスを通して愛する犬の身体への気づき、体の機能を意識することで、自ずと自分自身の健康に対する意識も高まるでしょう。ドッグフィットネスの様々な運動は人の運動の原理と似ているため、人も一緒に楽しみながら運動することができます。ひとりでは運動をしない人も愛する犬と一緒、犬のためなら楽しく運動ができるのではないでしょうか。

ドッグフィットネスを通して犬と一緒に何かをすることが増えます。犬を励まして、犬ができることを選択し、それを達成させることで、犬も自信に満ちあふれた顔をしてくれます。そんな時には必ず人も「こんなことを自分のワンちゃんができると思っていなかった!」と喜びにあふれた顔をしています。人が喜び楽しそうであると、犬も幸せで、心の状態が整い、情緒が整います。
双方にとって新しいこと、一緒にできること、心身の健康に役立つことを提案することで、犬との暮らしもさらに充実したものとなるでしょう。

 
IAALPドッグフィットネスの特長 

POSITIVE DOG FITNESS  〜犬にとって楽しいフィットネスを〜
 
犬にとってフィットネスは楽しいことでなければいけません。常に犬がリラックスして積極的にエクササイズを行なえるように工夫することが重要です。犬が自ら感覚しながらその動きをおこなうことで、犬が自らの固有受容感覚を使い、正しい体の位置や正しい動きを理解します。それらを感覚し、理解するには、緊張せずに感じ取る心の器がなくてはなりません。緊張や不安な状態では、過剰な努力に終始し、運動を感覚する余裕がなくなってしまいます。
IAALPドッグフィットネスは、感情=精神=身体のバランスを重視したホリスティックなフィットネスです。行動学を取り入れ、洞察力を高めることで、犬の気持ちや感じていることを理解すること、信頼関係の構築、犬のモチベーション向上を重視しています。大切なのは目の前にいる犬に合った方法でコミュニケーションを進めることです。そして、フィットネスが犬にとって恐れや強制でなく、楽しくハッピーなものであることです。トレーニングとは“教える”ことではなく“学習を生み出す”ことです。一方通行なコマンドではなく、犬自身の動きを最大限に引き出し、円滑で有効性の高いフィットネスを行ないます。

 

犬が犬として心が満ち足り幸せを感じるためには、犬自身に自ら考えるチャンスを与え、そして身体を動かせるチャンスを作ることが必要なのです。IAALPドッグフィットネスを通して犬たちにそのような機会を与え、また毎日の散歩に加えて適切な運動を行わせることで、犬の体と心のコンディションを整えることを目指しています。

 
 

IAALPドッグフィットネス教室

全国のIAALP認定ドッグフィットネストレーナー(C.D.F.T.)によるドッグフィットネス教室です。バランスボールを中心に家庭で楽しくおこなえる様々なドッグフィットネスを体験できます。1日のお散歩に少しのフィットネスをプラスすることで、愛犬の健康を維持してQOLを向上させることができます。また、愛犬にとって家族と一緒に楽しめるフィットネスはとても楽しい時間となります。ドッグフィットネス初体験の方も愛犬と一緒にお気軽にご参加ください。

 
 

 
 
 

IAALPドッグフィットネストレーナー(C.D.F.T.)養成講座

犬の精神・感情・身体の3つの関連性と健康を重視し、犬が自ら楽しみながら行なえるフィットネスをサポートできるトレーナーを養成します。
本ドッグフィットネストレーナー養成講座を終了し、試験等の認定条件を満たすことで、IAALPドッグフィットネストレーナー(C.D.F.T.)として認定されます。IAALPドッグフィットネストレーナーは、犬のフィットネストレーナーとして様々な分野で専門的に活躍していただくための認定資格です。

 
 

 

【講習カリキュラム】 *全34時間
 
全カリキュラムを通してドッグフィットネスに関する必要知識とドッグフィットネスに使用する様々な道具の正しい使い方をマスターします。実技講習では、少人数制の講義により実技指導を最重視し、アイソメトリック、コンセントリック、エキセントリック運動等、様々なエクササイズに自信を持って活用できる技術を体感的に身につけることができます。
筋力、バランス力、柔軟性、持久力、メンタルのトレーニングを行い犬の体と心のコンディションを最適な状態に維持します。
 
*「オンライン講習」受講後に「実技講習」を受講いただきます。
*「オンライン講習」のみの受講も可能です。

*「プレイズタッチforDOGセミナー」は「実技講習」までに受講されることをおすすめします。
* 受講者都合により参加できない日程は次回開催時に振替受講いただけます。
* 各日程の受講前に、テキストの閲読および一部ワークシート提出の事前学習をしていただきます。
*カリキュラムは変更になる場合がございます。

ドッグフィットネス オンライン講習(計10時間)
1日目 #1,#2 ドッグフィットネス概論

IAALPドッグフィットネスについて
犬にフィットネスを取り入れる目的とその有効性
ドッグフィットネスで必要な心構え
ドッグフィットネスを安全におこなうために 
様々なフィットネス方法

2日目 #3,#4 犬の行動学 身体と心の関係
犬のコミュニケーション
エモーショナルシグナル
カーミングシグナル
ストレスマネージメント
3日目 #5,#6 解剖学 身体の構成
頚部、肩部、前胸部、背部、腰部、後肢の筋肉
バイオメカニクス
ランドマーク
触知
 4日目 #7,#8


フィットネスに役立つトレーニング

実技講習内容について

オペラント条件法
クリッカートレーニングについて
5日目 #30
ケーススタディ チェックアップ/質疑応答

 

 

ドッグフィットネス 合計21時間  実技講習集中3日間コース(1日7時間)/ 4日間コース (1~3日5時間 ・4日目6時間)
1日目

#9 アセスメント(観察)
#10 クリッカートレーニング
#11 クリッカートレーニング
#12 フィットネス体力測定
#13 フィットネス器具を使用するフィットネス
#14 インフィニティマウンテン
#15 質疑応答 
2日目  #16 持久力
#17 バランス機能
#18 バランス機能
#19 プロプリオセプション(固有受容感覚)
#20 ストレングス(筋力)
#21 フレキシビリティ(柔軟性)
#22 質疑応答
3日目 #23 フィットネスプログラム作成について
#24 前肢のフィットネストレーニング
#25 体幹のフィットネストレーニング
#26 腰・後肢のフィットネストレーニング
#27 インフィニティマウンテン
#28 模擬クライアントセッション
#29 クロージング

 

【テキスト内容】

■ドッグフィットネストレーナー養成講座テキスト(全162ページ)
1. ドッグフィットネス概論
2. 犬の行動学
3. 観察
4. 犬の解剖学
5. 様々なフィットネストレーニングとその目的
6. メンタルフィットネスとトレーニング技術
7. バランス機能向上のためのフィットネス
8. 筋力強化のためのフィットネス
9. 持久力向上のためのフィットネス
10. 柔軟性向上のためのフィットネス
11. スポーツ&ワーキングドッグのフィットネス
12. シニアドッグ及びパピーのフィットネス
 
■プレイズタッチ for DOG テキスト(全3冊)
・大好きのルーティン
・おはようのルーティン
・おやすみのルーティン
 
 


プレイズタッチforDOGセミナー(4時間)
大好きのルーティン 1日集中セミナーまたは各ルーティンセミナーで、ご都合の良い会場またはオンラインで受講いただきます。
おはようのルーティン
おやすみのルーティン

 

受講費

230,000円(税別) *テキスト、認定試験費 込

* プレイズタッチ for DOGセミナー終了者は、カリキュラムのうち「プレイズタッチforDOG(4時間)」を免除とし、受講費を10,000円(税別)減額いたします。

クレジットカードでの分割払い可能

*オンラインセミナーのみ(合計9時間):60,000円(税別)*テキスト込

受講時間(講習)

計35時間

* 別途、各日程の受講前に、テキストの閲読および一部ワークシート提出の事前学習をしていただきます。

認定試験:オンライン筆記試験90

定員

4名(最少催行人数:3名)

* 愛犬と参加していただけます。

*振替受講者等の参加により定員を超えて開催する場合があります。

* 各開催日で最少催行人数に達しない場合は当該開催日が延期になる可能性があります。

副教材(別途各自ご購入いただきます)

犬の解剖カラーリングアトラス(発行元:学窓社)3,800円(税別)

犬用フィットネス器具 K-9コア・ウェッジ(TotoFit)5,500円(税別)

IAALPドッグフィットネストレーナー(C.D.F.T.)認定までの流れ

 

 
認定登録費: 10, 000円(税別)*合格者のみ。認定証発行含む。
IAALP認定会費:年 10, 000円(税別)*既にIAALP認定会員の場合は不要

講座監修・インストラクター 山田りこ

アメリカにて犬のリハビリテーションの理論と技術を習得し、日本に導入した第一人者。
テネシー大学ケーナインリハビリテーション認定プログラム獣医師コース修了。テネシー大学 Veterinary Medical Center(動物病院)リハビリテーション科にて臨床エクスターンシップに従事。
大学や専門学校、動物病院での指導のほか、数多くのメディア、動物関連雑誌、獣医療関連誌の執筆、講演等の活動を行なっている。また、動物病院や宿泊施設等における犬のリハビリテーションやドッグウェルネスについての監修も行なう。
 
一般社団法人アニマルライフパートナーズ協会 代表
財団法人 動物臨床医学会 理学療法分科会 委員
Karen Pryor Academy Certified Training Partner (KPA CTP ) 認定トレーナー
International Association of Veterinary Rehabilitation and Physical Therapy 会員
 
山田りこ プロフィール 詳細

IAALP 山田りこ監修 ドッグフィットネス施設

 

レジーナリゾート鴨川 Dog Wellness Beach(千葉県鴨川市)

 
 

 
バランスボールなどの器具を用いた様々なドッグフィットネスプログラムや流水プールを利用したウォーターセラピーが行なえる国内最先端の本格的なドッグフィットネス施設です。 IAALPドッグフィットネスのコンセプトである、愛犬自身が楽しみながら体と心をより健康に導くことができるドッグフィットネスを体験できます。 IAALP認定ドッグフィットネストレーナーが活躍しています。
 
レジーナリゾート鴨川HP  ドッグフィットネス施設紹介動画

 
全国のIAALP公認ドッグフィットネス教室


関連出版物

 

動物理学療法の基礎
著・山田りこ
(発行元:インターズー)
 

SURGEON 109
Vol.19 No.1 2015
「理学療法としての徒手療法・運動療法」
山田りこ、多川政弘
(発行元:インターズー)
 

SURGEON 114
Vol.19 No.6 2015
「高齢動物の運動管理」
多川政弘、山田りこ、川村知美
(発行元:インターズー)
 

CLINIC NOTE
2009年2月号 特集 動物理学療法の実践.1
「ヒトの手による犬へのリハビリテーションマッサージ」
「米国テネシー大学獣医学教育病院リハビリテーション科エクスターンシップを体験して」
山田りこ
(発行元:インターズー)
 

CLINIC NOTE
2009年3月号 特集 動物理学療法の実践.2
「動物理学療法のエクササイズ療法」
山田りこ
(発行元:インターズー)
 

as
2009 4 月~2011 8 隔月連載
「動物理学療法の基礎・動物理学療法とは」
Dr.Darryl L. Millis 、山田りこ
(発行元:インターズー)